M&Aコラム
今、M&Aが注目されている!

後継者不足によるM&A
国内企業が絡んだM&Aの年間件数は2,000件以上になります。
M&Aが増加している一番の理由は後継者不足が考えられます。社長の平均年齢も60歳を超えていることから、経営者の高齢化も進み、事業承継を理由としたM&Aは年間1,000件以上行われています。
10年前の中小企業白書によると、後継者不足が理由で廃業した企業は年間7万社もあることから、政府も危機感を感じ、2006年に事業承継ハンドブックを作成しました。ハンドブックには、事業承継方法が記載されており、その方法としては、親族内への承継、従業員への承継、そして、M&Aということが記載され、M&Aは国も推奨しています。
後継者不足の解決策としてのM&A
後継者不足を解消するために、親族や従業員への承継、M&Aのほかに、株式上場、そして廃業などの選択肢が考えられます。
今まで一般的だったのは親族や役員への承継ですが、そもそも息子がいないことや、「継がない、継げない、継がせない」という考え方も増えてきています。継がない背景としては、デザイナーやIT関係などの面白い職業が増加したことや、経営能力が低く任せられないこと、さらには、将来的な業界への不安などが挙げられます。
一方で、役員に承継する場合もありますが、例えば、1日100枚もの処方箋が出ている薬局であれば、会社価値が高額となるため、一役員が買えるのか資金的な課題があります。また、その会社に借入があれば、個人補償や連帯保証まで負えるのかという課題もあるため、承継については非常に課題が多いのが現実です。
株式上場は、中小企業の数は約400万社ある中で、多い年でも150件ほどしか上場できずに狭き門です。そして、もちろん廃業も選択肢の一つですが、様々な方に迷惑がかかるため、できれば避けたい選択肢です。
上記以外にも事業の承継には課題が多くありますが、会社の永続することで、従業員の継続雇用、オーナーの個人補償、担保の解消、創業者利益も獲得できることから、メリットも大きいため、事業承継の選択肢としてM&Aが注目されています。
特に、調剤薬局、プロパンガス、ビルメンテナンス、ドラッグストア、スーパー、学習塾など新たに出店できる場所が少なくなってきた業界は、買収意欲が強く、M&Aを希望する企業も増えています。
都市ガスが主流となったことによるプロパンガスの需要減、ビルの建築件数減によるビルメンテナンスの需要減、これらのことから自社だけでは拡大余地が見込めないため、M&Aによって事業拡大を狙うということになります。新たに開拓する市場余地が限られている業界こそ非常に買い意欲が旺盛です。
例えば、調剤薬局部門だけの売上高を見てみると、1位と2位には約55億円の差がありますが、9位と10位の差は約1億円と非常に拮抗しています。そのため、M&Aなくして、市場シェアの拡大は狙えないということになります。
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