M&Aコラム

オーナー社長がリタイヤする前に抑えるべき3つのポイント

遺産分割は遺言書に明確に記載する

ハッピーリタイヤをするために、相続について、三つの対策を行うことが必要不可欠です。一つ目は、遺言書に遺産内訳を記載し、相続人同士が揉めないように防ぐことが基本となります。もし、遺言書に遺産分割の記載がない場合、相続人が自分勝手な主張を言い合い、収拾がつかなくなりますので、被相続人が方針を示すことで、相続人も納得して受け取ることができます。

しかし、相続人には遺言書で明かすことができない「遺留分」という権利があり、例えば、相続人が配偶者と子ども2人の場合、子ども1人の遺留分は8分の1となっています。被相続人の意思であっても、この権利を侵す遺言はトラブルにつながりますので、不動産を所有している場合は、相続人の人数に合わせて、小さな不動産に買い替えておくなど、資産を分割しやすいようにしておくことも重要です。

納税すべき資産を確保する

二つ目は、納税資金対策です。資産が未上場株式や不動産に偏っている場合、相続税を支払うための資金準備に時間がかかってしまいます。遺産である不動産を売却し資金調達できると考えがちですが、売却には時間がかかり、売り急ぐと安値で取り引きされる可能性もありますので、生前に相続税を計算し、スムーズに納税できるように資産を確保する必要があります。

時間をかけた贈与や孫への贈与で節税対策

三つ目は、節税対策ですが、資産の種類によって相続税評価額が決まり、この仕組みを利用することで節税が可能になります。例えば、金融資産は時価で評価されるため、株式譲渡で手元の現預金が増えると相続税が重くなります。そのため、現預金の一部で不動産を購入し、評価額を下げることや、年間110万円までは贈与税が免除されるため、時間をかけた贈与で相続財産を減らすことも有効な節税対策です。

また、相続税改正に伴い、2015年以降は、20歳以下の孫に対する贈与税は幽遊されていますので、孫への贈与も検討されることも考えてみてください。